「悪魔なカノジョは裁判官」
各話のあらすじ ネタバレあり
第3話
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<1999年ヨンジュ洞>ーー
帰宅した小学生のダオンは、家で惨殺された両親を目の当たりにした。
血まみれの部屋、受話器、十字架。
ふと台所を見ると、血だらけの凶器を持った男がいた。
男は、ダオンに近づく。
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ビンナは、紫色に光る短剣でダオンを刺し、高笑い。
倒れるダオンに、地獄行きを示す“ゲヘナ”の烙印を押そうとすると、煙のような竜巻が起き、中から、地獄の総責任者バエルが現れた。
「その者は罪人ではない。誤った審判であるため生き返るだろう。そしてお前は代償を払うことになる。ユースティティアは、命じていた10人に加え、計20人の罪人を1年以内に殺し、地獄に送るのだ。処罰に反したら命はない。」と言って、また竜巻と共に消えた。
すると、ダオンの傷はみるみるうちに治り、流れ出た血も消えた。
ダオンは目を覚まし、いったいなんだったんだと混乱。
悪人でない者を殺してしまったため、罰が増えてしまった。。
ビンナはため息をつき、ダオンに両手を差し出した。(手錠をかけさせる仕草)
ダオンはノボン警察署にビンナを連行し、ソヨン班長や同僚たちに、ビンナに刺されたことなど事情を説明するが、酒気が残っていたため、酔って戯言を言っていると思われ、信じてもらえない。
さらに、ビンナは「彼、手錠や首輪を喜ぶから…」と、ダオンがSM好き彼氏であるかのように振る舞う。
「違うんだ〜!」と地団駄踏むダオン。
ビンナは、レストランで食事をしながら、罰が10人が20人に増えてしまったことをマンドに報告。
「なぜ確認もせず手にかけたんですか〜」と嘆くマンド。
すると店員の女性が、ビンナにナイフを突きつけてきた。
「地獄へ行ったのになぜ生きてるの?」と言う女性。
女性は、ウソ地獄の管理人グレモリーだった。
死後直後、ウソ地獄に行くはずだったビンナだったが、グレモリーは逃げ惑うビンナを取り逃がし、挙句の果てに、手違いで殺人地獄へ行かせてしまった。
ビンナの手続きに失敗したため、グレモリーは人間界に送られ、罰を受けているのだ。
グレモリーは、ビンナの中身がユースティティアとは知らず、ビンナを地獄へ連れ戻そうとする。
マンドは、必死にジェスチャーで伝える。
「彼女はユースティティアだ」と。
ようやく気づいたグレモリーは、「憧れの方に会えるなんて〜嬉しいです!」と態度を一変。
美しくてエレガントで、ずっと上の立場にいるユースティティアに憧れていたようだ。
ビンナ・マンド・グレモリーの悪魔3人は、場所を変えて話をする。
グレモリーは、「クモ野郎!」とバエルの悪口炸裂。
グレモリーもまた、「任務を完遂できなければ命はない。」とバエルから言われていた。
「私が罪人(ビンナ)を逃さなければ、ユースティティア様…先輩がこんな目に遭わなかったのに…私のせいで…」とベソをかく。
グレモリー改め、イ・アロンは、ビンナの任務完遂を全力でお手伝いすると宣言した。
マンドは、ビンナからのパワハラに耐えかね、救いを求め、大家の勧誘で教会へ向かう。
ビンナの暮らすファンチョン洞は再開発が決まっているが、ビンナの住むアパート・ファンチョンヴィラの大家ミョンスクや住人たちは再開発反対の署名をしていた。
再開発を進める太獄(テオク)社のCEOチョン・テギュは、チョン・ジェゴル議員の長男。
ビンナと婚約したが、婚約破棄となった相手だ。
テギュは、再開発に関して、ファンチョンヴィラの住人たちの説得に手こずっていた。
元婚約者のビンナが住人であることも把握済み。
裁判官であるビンナは、なぜ、こんな小さなボロアパートに住んでいるのか。
裁判官であるビンナは、なぜ、事故後、借金を抱えているのか。
疑問を抱くテギュ。
ダオンの上司ソヨン班長は、ダオンの「刺された」「死んだ」という話が、一概にウソとは言い切れず、ビンナがあやしいと睨む。
ダオンは休暇を取り、脳の検査。
ビンナに刺されたあの感触が、どうしても夢だったとは思えないのだ。
しかし、検査の結果異常なし。
“妄想性障害”と診断されてしまった。
ダオンは、病院でビンナと遭遇。
「あなたは一体何者なんだ!?」と問い詰める。
ビンナは、事実を告げた。
・地獄から来た
・3ヶ月前に死んだビンナの体に憑依している
・悪魔である
・ダオンが死んだのも事実
・紫色に光る目、凶器(紫色に光るナイフ)を見せる
・監視カメラを能力で壊す
信じられず、パニックのダオン。
ビンナは「かわいいハン刑事。肝に銘じなさい。何もなかったことにするの!私に殺されたと言いふらしたら、あなたは本当に死ぬ。どうせ刑事さんの話は誰も信じないわ。今までありがとう。」と口止めしつつ別れを告げた。
ダオンは、幼い頃に両親が殺された時、犯人の目撃者として警察の聞き取りを受ける。
しかし、いつも違う話をして刑事を困らせた。
今回、妄想性障害と診断されたこともあり、自分自身を信じられなくなっていた。
幼い男の子ジホと母ジャヨンと父ヒョンスが、海沿いの夜の道をドライブしていた。
「なんだか臭うね」というジホ。
運転席のジャヨンが、天井の窓を開けようと一瞬目を離した次の瞬間、ハンドル操作を誤り、車はガードレールを突き破り、崖から海に転落。
ジャヨンとジホはなんとか車から脱出して助かったが、ヒョンスはそのまま海に沈み、亡くなってしまった。
義母から「許さない!この人殺し!ジホをよこせ!」と罵られるジャヨン。
その後、義母は、ジャヨンの元からジホを同意なく連れ去り、裁判沙汰となる。
ジャヨンはジホにとって継母だった。
義母は「父親を亡くし、継母に気を使う哀れな孫を私が育てると言ってるのに、それが罪なの!?」と法廷で騒ぎ立てる。
傍聴席で涙を流すジャヨン。
義母は暴言を吐きまくり、裁判官のビンナに矛先が向いた。
「本当に勉強したの!?高い所にいて私の事情が見えない!?それなら近くに来てしっかり見なさい!」
ビンナが「法廷侮辱罪で処罰されますよ!」と注意するも、「罰すればいい!!!何も知らない若造のくせに脅迫するなんて!そんなに偉いの!?」と喚く義母。
退廷する際も、傍聴席にいたジャヨンに掴みかかり、叩き、悪態をつく。
実は、ジャヨンは、ヒョンスの死後保険金を受け取り、その前の夫が急死した時もマンションを譲り受けていた。
ピンときたビンナは、ジャヨンが悪人であり殺人者ではないかと睨み、調べ始める。
別れを告げたはずのダオンだったが、傍聴席に現れて手を振ってきたり、携帯や職場に電話してきたり、しつこくビンナに接触を試みる。
ビンナは無視していたが、今度は、裁判所の前にやって来て、拡声器を使ってビンナを呼び始めた。
大騒ぎの裁判所前。
渋々出てくるビンナ。
ダオンは「あなたの正体と、俺を殺した理由を突き止めます。1週間だけ時間をください。」と宣言。
ダオンによる付き纏い作戦が始まった。
ビンナは、小学校教師をしているジャヨンを訪ねた。
ジホを取られたのに黙っている理由は、「ジホとの別れの時間をあげたい。裁判が終われば連れ戻します。」と答えるジャヨン。
ジホは去年ジャヨンのクラスの生徒だった。2歳の時に病気で母親を亡くしたと知り、他の子よりも気にかけるようになった。
それで、ジホの父ヒョンスと連絡を取るうちに仲が深まった。
幸せな結婚生活だったが、結婚後半年で事故が起こった。
「私が何の罪を犯して二度もこんな目に遭うのか…死にたくなりました。」と言うジャヨン。
義母はヒョンスが5歳の時に家を出た。
それから30年後に現れて、ヒョンスにお金を要求するようになった。
ジホ名義の生命保険も狙っていると言う。
「お金目当ての人にジホを任せられない。生みの親ではないが、私の子供なんです。ジホを取り戻してください。」と涙を流すジャヨン。
ビンナは、ジャヨンと分かれて小学校を出ると、ダオンが待ち伏せしていた。
しつこく付き纏い、ストーカーかと怒ったビンナは、ダオンの首を締めるが、まったく本気ではない。
殺してしまっては、また、地獄の総責任者バエルによって罰が増やされてしまうからだ。
本気で殺そうとしていない、殺せない事情があるんだと見破ったダオン。
「焦ってるだろ?」と、したり顔でビンナを煽る。
ビンナの真っ赤な車に乗り込み、さらに付き纏うダオン。
呆れ、ため息をつくビンナ。
車内でダオンは、ジャヨンの調査報告をする。
・元夫が突然失明し、山で滑落死
・家と5億の保険金を受取る
・ヒョンスの保険金は30億
・そのうちジャヨンが18億、ジホが12億を受け取る予定
「これだけ情報を流せば、会う価値があるだろ?」と言うダオン。
翌朝、絶対にダオンに付き纏われないよう早朝に出かけるが、すてにダオンは自身のキャンピングカーで待ち伏せていた。
仕方なく、ビンナは、ダオンの車に乗ってジャヨンの義母を訪ねた。
義母の家の扉に付いていた鈴の音を聞き、ダオンはフラッシュバックを起こす。
ジホは養護施設に預けたと言っていた義母だったが、ジホは自宅のクローゼットに隠れていた。
ジホが連れて行かれると思い、隠れるように指示したのだ。
ビンナにとって、ジホの所在は問題ではない。
重要なのは、ジャヨンが保険金殺人をしたかどうか。
その証拠があると言う義母。
ヒョンスの葬儀の日、ジャヨンは他の男とイチャついていた。
3日ほど経った頃にジホを訪ねると、家は散らかり放題。
ジャヨンは、出前と少しのお金を置いて、ジホを1人にして2日も帰ってこなかった。
見かねた義母は、荷物をまとめてジホを連れて帰った。
「そんな女に孫は渡せない!何をするやら。あの女が息子を殺したに違いない。」
義母の話は、ビンナが求めていた確たる証拠には程遠い。
もう帰ろうとダオンに言うが、ダオンはもう少し話を聞くと言う。
ビンナは、ジホと一緒に海辺で話をする。
ジホは「ママがパパを殺した証拠があるか聞いてたよね?もし証拠があったらママはどうなるの?」と聞き、自分が描いた絵を見せた。
絵を見たビンナは、「これってママとあなた?ママが話すなと言ったのね?おばさんとも一緒にやらない?」と言った。
うなずくジホ。
義母の話を聞くダオン。
「息子が死んで出る金なんていらないよ。あの女が金を狙ってジホにまで手を出すのが怖くて、ジホの取り分はよこせと言ったまでだ。子供を引き取って金を使えないようにすれば、ジホは無事なはずだと思ったんだ。」と義母。
ダオンのが帰ろうと、ビンナを呼びに行くと、横になったビンナの顔にジホがクッションを押し当てていた。
「なにやってるんだ!」と慌てるダオンだったが、これはビンナが指示したことだった。
ビンナとダオンは、ジホから事故の話を聞き出す。
<ジホの証言>ーー
事故の前、ジャヨンは酒に酔って眠るヒョンスのシートベルトに細工をして外れないようにしていた。
車で夜道を走り、ジャヨンは天井の窓を開けた。
ジャヨンは突然ハンドルを思いっきり切り、車はガードレールを突き破り、崖から海へ転落。
沈みゆく車の中で、ヒョンスは、天井の窓から必死にジャヨンとジホを逃がそうとする。
なんとか逃げ出したジャヨンとジホ。
ヒョンスのシートベルトは外れない。
やっとのことで外れたのだが、天井の窓が閉められてしまった。
陸に上がって「お父さん!」と叫ぶジホの傍らで、ジャヨンが車のスマートキーで沈みゆく車の窓を閉めたのだ。
ジャヨンは「お父さんを早く助けて!」とすがるジホの手を振り払い、「今からママの言う事を聞くの。もし聞かなければ殺してやる。」と笑った。
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ジホは「お父さんに会いたい!」と号泣した。
「おばあちゃんを殺してやる」とジャヨンに言われ、言い出せなかったようだ。
唯一の証拠が子供の証言。
さらに聞き取りのたびに証言を覆せば、誰も信じないし、再捜査は難しいと言うダオン。
これはダオン自身の経験に基づいた発言だった。
しかし、ビンナは「私は信じる。」と言った。
「あなたには困ってるけど、もし、子供になって現れたらあなたの言葉を信じる。だって幼いから。子供は自分勝手でも、ずる賢くはない。だから私は信じるの。ハン・ダオンでもね。」と。
その言葉が胸に刺さったダオンは、涙をこぼしてビンナを見つめる。
判決の時。
裁判官ビンナによって、義母は、一番軽い執行猶予となった。
感謝する義母。
しかし、ジホの親権と養育権はジャヨンにある。
どちらが育てるのかは、2人で相談をするように言った。
裁判後、義母の家にジホを取り戻しに来るジャヨン。
徹底してジホを渡さない義母。
しびれを切らしたジャヨンは、義母に毒を盛り、ジホを連れ出す。
「なぜウソをついたの?悪い子は罰を受けなきゃ。」とジャヨン。
自宅に連れて帰った後、風呂にお湯をため、ジホに虐待する。
ビンナは支度をする。
そして、鏡に指でジホの名前を書いて、ジホの様子を映し出す。
すると、ジホは湯船に沈められていた。
「終わったわね」とつぶやくビンナ。
ダオンはジャヨンの部屋を訪れ、ドアを叩く。
ジホを虐待し終えたジャヨンを駐車場で待ち構えるビンナ。
ビンナは「悪い大人は罰を受けなきゃ。」と言って、怯えるジャヨンに向かって、紫色に光るナイフを振り上げる…