「グッドボーイ」
各話のあらすじ ネタバレあり

第3話:ミリオンダラー・ベイビー
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ドンジュは、インソン本部税関の職員の中から、轢き逃げ犯と同じ腕時計をした男を見つけた。
男の名はミン・ジュヨン。
「この轢き逃げ野郎!」と睨みつけるが、見に覚えがないというジュヨン。
ドンジュは、ズボンを脱いでお尻のアザを見せつけて食い下がるのだが、警備員につまみ出されてしまった。
ジュンヒョンは、自分のせいで怪我をしてしまったマンシクを申し訳なく思っていた。
マンシクは、そんなジュンヒョンの思いを逆手に取り、恩返しとしてチームに加わるように言った。
優秀なジュンヒョンが加われば百人力、そうしてもチームに欲しい逸材なのだ。
しかしドンジュは、恋敵であるジュンヒョンがチームに加わることに大反対し、ハンナも反対だと言った。
まるでハンナの事をなんでも知っているかのような口ぶりに、ジョンヒョンはムカついた。
そして2人は対決をすることに。
ボクシングメダリストのドンジュが優勢かと思いきや、ジョンヒョンはフェンシングメダリストであると同時に、テコンドーの国家代表でもあったのだ。
ハンナの目の前で打ちのめされてしまったドンジュ。
マンシクは落ち込むドンジュに肉を食べさせてやる。
マンシクは、なぜ特技の右ストレートを出さなかったのかと聞いた。
何も答えないドンジュ。
ハンナはジェホンに「ドンジュを慰めてやって」と頼まれて、仕方なくドンジュとマンシクのいる店にやって来た。
すると、2人がレスリングをしてじゃれあっていた。
呆れるハンナ。
「元気じゃない!」と言い残し、店を出て行ってしまった。
轢き逃げ犯として逮捕されたギョンイルは、薬物の服用まで疑われ捜査されていた。
それがテレビのニュースで報道され、ギョンイルの母も知ることに。
ドンジュは事実を打ち明けた。
母は「育て方を間違ったとしても人を殺すような子じゃない。」とギョンイルを信じた。
いつものように、ドンジュのためにおかずを用意してくれる母に、ドンジュは胸が痛んだ。
ドンジュは轢き逃げの真犯人を捕まえることに、決意を新たにした。
ドンジュはマンシクの車をちょっくら拝借し、密輸品である轢き逃げ犯の車を探すため、市内の廃車場を虱潰しに調べていく。
マンシクは、ドンジュの話に信憑性があることから、ジョンヒョンにギョンイルの捜査を依頼。
ジョンヒョンはギョンイルを内偵の参考人として検察に面談を要請。
担当は凶悪犯罪刑事部キム・ソクヒョン検事。
ジョンヒョンはその名を聞いて表情を曇らせた。
ソクヒョン検事は、ジョンヒョンの兄だった。
2人は仲が悪く、長いこと会っていなかった。
ジョンヒョンをが訪ねると、長い時間待たされる。
顔を合わせるやいなやソクヒョンは、「警察ごっこは楽しいか?昔から逃げてばかり。勉強もテコンドーもダメで、フェンシングでも金メダルを取れずに逃げた。無駄なことしんてないで、父さんの仕事を継げ。」と侮辱した。
ジョンヒョンは悔しさをにじませながらも、何も答えずに立ち去った。
ドンジュは拘置所にいるギョンイルに面会。
ギョンイルが自白してしまっている以上、ドンジュとしては何もできない。
「殺してないとさえ言えば、何としてでも出してやるから!」と説得するが、ギョンイルは受け入れなかった。
ギョンイルの担当刑務官は、ジュヨンのスパイで、ジュヨンと同じ例の腕時計をしていた。
ドンジュが面会に来たこと、話した内容、すべてをジュヨンに報告。
ギョンイルの様子を「不安そうだが、最初はみんなそうだから」と言う刑務官に、ジュヨンは「不安要素は消さないと」と意味ありげに言った。
翌日、ギョンイルが謝罪の遺書を残し、拘置所で自殺した。
悲しみに暮れるドンジュ。
その姿を見たチームのメンバーは、胸が痛む。
ドンジュが目に涙をためてギョンイルの遺留品を確認すると、金ウサギと轢き逃げ犯がしていた例の腕時計が入っていた。
当然、ギョンイルのものではない。
ドンジュはこの腕時計の指紋とDNAを確信する必要があると必死に訴えるが、ソクヒョン検事が「被疑者死亡」で事件を終結させてしまった。
死んでから、たった数時間しか経っていないのに。
怒りに満ちたドンジュは、ジュヨンの元へとやって来た。
そして、腕時計を投げつけ、胸ぐらを掴んで「お前が黒幕だろ」と凄んだ。
ジュヨンはシラを切り、不敵な笑みをこぼした。
ドンジュはブチ切れ、ジュヨンを怒りのままに殴りつけた。
ハンナはその腕時計に見覚えがあり、自宅にしまってある箱を取り出した。
警察官だった亡き父の思い出の品が眠るその箱に、例の腕時計と同じものが入っていた。
ハンナはその腕時計がどういうものなのか知りたくて、警察官時代の父を知るファン・ギョンチョル部長に聞いてみた。
ファン部長は、そういった事情に詳しいインソン質店の店主(ドンジュがベルトやメダルをお金に替えた店)に聞いてみるといいとアドバイスをくれた。
ハンナはさっそくインソンに質店を訪ねる。
その腕時計は、スイスの職人が1年に12個しか作らないもので、2003年に、通称オダラーという名の密輸人によってインソン市に数個入ってきた。
オダラーとは、本名オ・ボンチャンという外貨両替で大儲けした男だ。
インソン市に入ってきた密輸品の全ては、このオダラーの手を経ていた。
ハンナが持ってきたその腕時計は、本物よりも1g重かった。
ハンナはふと、店内にあるドンジュが置いていったメダルを見つけた。
ドンジュは3ヶ月の減給。
停職と告訴は免れたが、「“刑事訴訟法”を書き写す」という反省の証を見せるようにと条件を突き付けられた。
断固拒否するドンジュ。
ドンジュはギョンイルの母の元へ。
母は泣きながら、「もう来ないで。ドンジュは悪くないが、憎んでしまいそうで顔を見る自信がない。」と言ってドンジュが渡した通帳を返した。
そして「もう肩の荷を下ろして楽に生きなさい。」と言った。
母は悲しみに暮れ、涙を流した。
何もできず雨に打ちひしがれるドンジュ。
ジョンヒョンは、ギョンイルの事件も含め、2週間以内に立て続けに置きている轢き逃げ事件の捜査を上司に提案。
ギョンイルの事件に関しても、死亡からたった2時間で検事が事件を終結したことや担当刑務官が音信不通になっているのはおかしいと訴える。
しかし、上司は動こうとせず、静観の姿勢を崩さない。
ギョンイルを殺したのは刑務官だった。
もちろんジュヨンの指示だ。
首を締められ苦しむギョンイルが必死に抵抗する中で、刑務官のしていた例の腕時計が外れ、独房の隅に落ちてしまったのだ。
刑務官はギョンイルを殺した後、腕時計を回収せずのその場を立ち去ったため、後に見つかった腕時計はギョンイルの遺留品とされたのだ。
これは、刑務官の大変な落ち度。
ジュヨンはミスをした刑務官を暴行。
顔が腫らし、血だらけの刑務官。
ジュヨンは「この腕時計を贈ったのは信用と信頼の証。むやみに外したらダメでしょう?次はありません。時計を外せるのは1度だけです。」と冷酷に告げる。
刑務官は許しを請うが、ジュヨンの子分たちによって殴り殺された。
ジュヨンは子分から、税関職員のイ・ジンスの遺留品の書類を受け取る。
封が開いていることから、遺留品を担当したハンナが中身を見たと考える。
「新たな不安要素だ」とつぶやくジュヨン。
その書類とは、通関輸出入リストと外国為替取引内訳とチョンイル開運についての資料だった。
ジュヨンはそれらを燃やした。
そして、刑務官がしていた腕時計を、今度はオ・ジヨング(オコーチ)に贈り、期待に応えるように圧を掛けた。
ドンジュはギョンイルを思い、当直室で1人涙を流す。
かつてドンジュとの練習試合で負傷し、選手生命を奪ってしまった。
トラブルに巻き込まれているのに助けることができず、死なせてしまった。
本当の家族のように大事に思っていたギョンイル。
当直室から響く激しい泣き声。
ハンナは質店から買い取ったドンジュのメダルを手に、当直室の扉の向こうで、その泣き声を聞いていた。
翌朝起床したハンナは目眩を感じて薬を飲んだ。
ハンナの母はハンナが住む自宅を勝手に売却してしまったようだ。
大好きで尊敬していた父が大事にしていた家。
怒ったハンナは、インソン警察署内で保険の営業をして回っている母を捕まえ、「売却は絶対に許さない!」と断固拒否してケンカになってしまった。
そのケンカをドンジュが聞いていた。
ハンナは射撃の選手だった頃、その美貌からアイドルのように大人気。
CMに引っ張りだこで、大金を稼ぐ。
母は、そんなハンナを利用して稼ぐことに夢中だった。
その結果、ハンナは射撃に集中できず、ストレスを抱え、精神を取り乱し、メダルを取り逃がす。
ハンナは自慢のロングヘアを自分でバッサリ切り落とし、母を落胆させた。
その時から続くハンナの目眩。
ハンナは横断歩道で目眩に襲われ、倒れそうになる。
しかし、次の瞬間、すごい勢いでドンジュが駆けつけて、ハンナを抱きとめた。
選手時代、ストレスを抱え目眩で倒れるハンナを抱きとめたのもドンジュだった。
ドンジュは、車が行き交う道路の真ん中で、必死にハンナを抱きしめて守った。
「大丈夫?」と心配そうに覗き込むドンジュを目の当たりにして、ハンナは、「人の心配をしてる場合じゃない。バカだ。」と心の中で思った。
ベンチに座って落ち着いたハンナは、質店から買い戻したドンジュのメダルを取り出す。
そして、「頭は冷静に心は熱く。揺さぶられずに標的に狙いを定めて、そいつを逮捕するの。」と励まし、真犯人逮捕へ背中を押した。
その頃マンシクは、ドンジュに課せられた「“刑事訴訟法”を書き写す」という罰則を、夜通し代わりにやってあげていた。
老眼鏡をかけ、目をシパシパさせながら。
ジョンヒョンは、警察の情報が漏れていると考え、人事部から職員名簿を見せてもらうことにした。
人事部の職員がPCを立ち上げると、直前に何者かがハンナの情報を閲覧していた形跡があった。
ハンナは警察を続けることにした。
ジョンヒョンはチームに加わることにした。
これで強力特別捜査チームはようやく完全体に。
ドンジュとジョンヒョンはバチバチとやり合うが、そんな様子を見て、ハンナは微笑んだ。
ドンジュは立ち直れたようだ。
決意を新たにしたドンジュは、完成した「“刑事訴訟法”を書き写し」を握りしめ、再びジュヨンの元へ押しかける。
ジュヨンの顔を見ると怒りが込み上げて感情が高ぶってしまうドンジュだったが、「頭は冷静に心は熱く」というハンナの言葉を思い出し、必死に自制、「“刑事訴訟法”を書き写し」を叩きつけた。
ジュヨンは約束通り告訴を取り下げると言い、「“刑事訴訟法”を書き写し」を床に捨て立ち去ろうとした。
ドンジュは「人間なら恥を知れ。逃げても無駄だぞ。俺の対戦相手はいつもKOされる。」と宣戦布告した。